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[準々決勝 オランダ×ブラジル]遊び心
欠点はときとして美点と成り得る。一人の完璧な個人も人を強く惹きつけるが、どこか抜けている人もそれはそれで味わい深く、愛情を誘わずにはいられないものである。
そしてそれはサッカーのチームにも言えることだ。08-09シーズンのFCバルセロナは前者の代表例だろう。世界中のサッカー・ファンの誰もがあのバルセロナには憧れたはずだ。
対して今大会のオランダ代表はオフェンスに関してはNo.1なのだが、センター・バックが唯一の泣き所となっている。マタイセンもハイティンハもいいセンター・バックであることは間違いないが、やはりミドル・クラスの域は出ない。攻撃陣のあまりの豪華さに比べると、かなり見劣りする。しかしその攻撃陣と守備陣のアンバランスさこそが今回のオランダ代表の魅力なのだ。
その点では今大会のブラジル代表は隙がないように見える。ゴール・キーパーのジュリオ・セーザルからセンター・フォワードのルイス・ファビアーノまで選手としてのレベルはもちろんのこと、ドゥンガイズム=規律を徹底的に叩きこまれ、無駄がない。遊び心がない。
特にペナルティエリア付近でロッベンがボールを持った際には、多い時で7~8人が守備に戻り、ロッベンに対峙したが、そのシーンは74年大会でオランダがブラジル相手にやった「ボール狩り」を彷彿させた。74年にやられたことを、今度はブラジルがやり返しているわけだ。
これは確かにブラジルが決勝まで突き進むかな…と思いきや、腐っても鯛、腐ってもブラジル、というべきか、ここで伝統のお家芸である遊び心、ポカが出てしまった。53分、なんということのないハイボールの処理を、ジュリオ・セーザルとフェリペ・メロのミスで失点してしまう。
これで流れは一気にオランダへ傾いた。60分からはオランダが優位に試合を運び始める。68分にはハイスピードコーナーキックからカイトが後ろに反らして最後はスナイデルがヘッドで合わせてゴールを決める。基本的にリアクション型のブラジルはリードされるとキツイ。フェリペ・メロにレッドが出た時点でジ・エンド、サヨウナラ。
変な話で恐縮なのだが、物事において「遊び心」というのはやはり重要なのではないだろうか。強い、弱いは別として、遊び心のあるチームのほうがないチームよりもやはり人を魅了する。「欠点がときとして美点になる」、というのは「遊び心がある」を言い換えたものでもある。ここで言う遊び心は欠点に限ったことではない。規律から解き放たれたプレイヤーもこれにあたる。今大会のチームで言えばブラジルに対するアルゼンチン、とでも言えばいいだろうか。
ドゥンガはもうブラジルにいることはできないだろう。ここはひとつ、またJリーグ、ジュビロ磐田に、監督として戻ってきてはどうだろうか。Jリーグにひとつ大きな彩りを添えることは間違いない。
今回の敗戦で学んだ、遊び心とともに。
(本田千尋=文)







