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ドイツは続けた、日本は

 ドイツが準決勝に進出した。
 準決勝の相手はスペインということで展開は読めないが、たとえ決勝進出を逃したとしても素晴らしいチームだったことは誰もが認めるだろう。
 前回大会を経験したシュバインシュタイガーやポドルスキらはさらに一段レベルアップした姿を見せたし、なによりエジルとミュラー、ケディラ、ノイアーという新しくスケールの大きい若手がまたも台頭してきた。


 1998年フランス大会と2000年欧州選手権におけるベテランたちの大敗によって、ドイツサッカー界は一大変革を迫られた。
 マテウスやクリンスマン、へスラーなど1990年イタリア大会優勝時のメンバーに依存し、東西ドイツ統合による人口増に依存した結果、1970年代生まれの世代からは代表にほとんど食い込めていない。
 例外は東ドイツ出身のバラックやイェレミースなど少数である。

 ドイツサッカー界の首脳陣は、若手選手の発掘と育成システムの整備を怠ったのだとみずから率直に認め、現代サッカーに対応できるスキルやフィジカルや戦術眼をもつプレイヤーの育成に乗り出したのだ。

 南アフリカ大会での充実の試合ぶりに、ドイツサッカー界が歩んだ十年の道のりは誤りではなかったことが証明されつつある。


 ただ21世紀に向けて始まった改革を、台なしにしてしまいかねない快挙があったことを忘れてはならない。

 日韓大会で決勝まで残ることができたのだ。

 ドイツサッカーが復権したなどと現実を見誤ることはなかった。
 日韓大会での勝利は、他の強豪国が早期敗退していく中での組み合わせに恵まれたことと、GKオリバー・カーンが人生最高のスーパーセーブを連発した産物に過ぎず、ドイツサッカー界が真に世界最高レベルに返り咲いたわけではないのだと認識していた。

 手をつけた若手育成システムの成果は、2006年には間に合わないだろうとドイツサッカー界の重鎮たちは焦燥し危機感は絶えなかった。
 そしてドイツ大会では改革第1世代ともいうべきシュバインシュタイガーやポドルスキやラームが試合ごとに輝きをまして3位になり、2年後の欧州選手権でもスペインに一蹴されたとはいえ決勝まで残った。

 今大会のドイツの躍進と、直前のチャンピオンズリーグでのバイエルン・ミュンヘンの活躍といい、ドイツは再び世界最高峰の一角に復権したのだ。


 日本はどうするのか?
 ブラジルから帰化した闘莉王、練習生からのし上がった中澤、大学サッカー出身の長友、そして10年前でさえ時代遅れと言われていた九州高校サッカー出身の大久保、松井、遠藤らを、Jリーグ発足以来のサッカー協会のジュニア育成方針による「作品」とは言えない。

 10年前には次世代を担うと思われていたJリーグのユース出身は阿部と駒野、控えの稲本と森本だけでえあり、中村俊輔もそして本田圭佑もジュニアユースから先はなかった。
 代表メンバーの出自を見るだけでも課題は見えてくる。

 ワールドカップでの決勝進出は快挙だった。
 しかし、もう終わったことだ。

 ほとんど国民から支持を得られることもなく、それでも決勝トーナメント進出を成し遂げた、当の選手たちは、早くもステップアップを目指しての移籍をもくろみ、またJリーグを盛り上げようと決意を表明している。

 彼らは結果を自信に変え、さらなる成功と成長を目指し挑戦を続けようとしている。
 ファンもメディアも協会も、そろそろ勝利の酔いから覚める時かもしれない。

(小林浩宣=文)

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コメント(7)

小林浩宣2010年7月8日 9:57 PM 

>ワールドカップでの決勝進出は快挙だった。
>しかし、もう終わったことだ。

お読みくださった皆様、申し訳ございません。
内容どうこう以前に上記の訂正を申し上げます。
正しくは

>ワールドカップでの決勝トーナメント進出は快挙だった。
>しかし、もう終わったことだ。

です。
失礼いたしました。

え?2010年7月8日 11:48 PM 

いつも斬新な記事をみて、とても参考になると思っていますが、さすがにこの記事はなぁ・・。

ドイツが世界最高峰のレベルじゃないって、今までのドイツのW杯の結果はご存知なのですか?
2002年の話もでてきましたが、台無しって、「いつのW杯の栄光」なら台無しではないのでしょうか?
ベスト16率100%なんて、ドイツ以外の国でどれだけあると思いですか?
(自分、ただのドイツのサッカーのファンなので、この記事に敏感になっただけかもしれませんが)言葉は悪いですが、ドイツをなめてませんか?

後日本の話ですが、とても同感です。
まだW杯は終わっていませんが、日本にとっての「2010年W杯」は終わってしまいました。
だからこそ「2014年」のために、選手たちにはよりステップアップをしてほしいですね。

冬のトリトン2010年7月9日 8:35 AM 

う~ん。難しいでしょうね。一部のメディアはともかく、ファンも、何より日本サッカー協会が酔いから醒めることを嫌がるでしょう。
本来なら、これからさらに先に進むためには、岡田監督を否定しなければならないはず。直前まで迷走した挙句、なかばヤケッパチ気味にやった方法がたまたま「大当たり~」となっただけですから。本大会を守備的に戦うというなら、1年以上前からそういう戦い方をしていなければならないはずでしょう。そうすれば、先に得点されたときにどうするかについても対策が立てられたはずです。
それが、岡田監督を否定するどころか、いまだに留任要請を出す始末。とても反省しているようには見えませんね。これでは将来も、期待薄と見ます。
もちろん、今回のベスト16入りという結果は立派です。が、これはハッキリ言って、「ラッキーだ」という認識がほしいですね。しかし、肝心の協会会長と強化委員会がこれではねぇ・・・。

山本2010年7月9日 12:55 PM 

いつも思うのですが、大会後にこういった前向きな反省というか、悪いところは悪かったと考え、次へステップアップして行こうという記事や、インターネットのコメントが出ているのに、なぜ何も(といったら大げさかもしれませんが)変わらないのでしょうか。
協会はなぜ、変わっていこうとしないのでしょうか。ネットのコメントやサッカー雑誌の記事などでは、協会はいつも批判されています。でも、なんで変わっていかないのでしょうか。
まだ、その批判の声が小さいのでしょうか。
今ひとつ協会の何が悪いのかはっきり分かりません。(自分の地位を守るために、結果だけをみて良しとして自分の功績にしたい?というような事だとうっすらとは分かりますが)
誰かはっきりと、協会のここがおかしい!と教えてください。

スズキ2010年7月9日 1:06 PM 

‘ほとんど国民から支持を得られることもなく’


あなたやお師匠様の支持を得てないだけでは?
勝手に代弁しないでください。


‘本大会を守備的に戦うというなら、1年以上前からそういう戦い方をしていなければならないはずでしょう’



なんで?
ブラジル負けたけど、イタリア負けたけど。


‘そうすれば、先に得点されたときにどうするかについても対策が立てられたはずです。’


攻撃的なチームだろうと、守備的だろうと対策考えると思いますがね。



よくラッキーとかたまたまって言う人いるけども、何を持ってそういうのかなと

henry2010年7月9日 4:49 PM 

 ドイツ代表の話はいつの時代も勝負強く、常にトップクラスの代表チームなので、フランスやイタリア、イングランドと較べれば、落ちた印象も上がった印象もあまりないんですけどね。
 しかし、2002年の日韓大会での快挙を改革を台無しにしたと評価するのは、どう考えてもおかしいと思いますよ。別にカーンだけが活躍したわけではなく、新エースとしてクローゼの台頭もあったわけだし。
 そもそも、結果を出すために改革をするわけで、結果が出たのに改革を台無しにしたと批判するのは、目的と手段を混同した本末転倒でナンセンスな議論だと思います。

 あと、日本について、わたしは別に勝利の酔いから醒める必要なんて無いと思いますけどね。南ア大会が終わり、Jリーグが始まり、夏休みになってプロ野球の優勝争いが佳境になればそのうち勝手に熱は冷めますよ。

 日本サッカー協会も多くの批判をはね除けて勝利を得て、甘い蜜を存分に味わったと思うので、“反省”といういかにも日本人らしいネガティブな視点ではなく、さらに“邁進”というポジティブな視点で突き進んで欲しいと、わたしは思います。
 それに、来年の一月にはアジアカップ、一年後にはコパ・アメリカがあるわけで、四年後を考えるよりも目先の目標があるので、そんなに浮かれてもないんじゃないですか。

冬のトリトン2010年7月15日 11:22 PM 

ふ~ん。「邁進」ですか。使い方によっちゃ便利な言葉ですねぇ。かつて太平洋戦争で全滅を玉砕、撤退を転進といった旧日本軍に似ているような・・・。
ポジティブというなら、岡田監督の日本代表を肯定しているということですよね。ならば、本大会前の、あの無様な試合の数々はいったい何だったんでしょうか。まさか、対戦相手を油断させるための作戦だったとでも・・・。
結局のところ、あれが真の実力で、本大会はたまたまうまくいっただけでしょう。本田の1トップなんて、いつからですか。直前ですよ。大会の組み合わせが決まって、守備的な戦法で、それで結果を出したというなら、それなりに評価しますけどねぇ。
自分が二日酔いといったのはね。この結果が真の実力だと勘違いして、本当に必要なことがおろそかになるということですよ。仮にですよ。アジアカップ、コパアメリカで惨敗したとしましょう。本来なら、その敗因の検証が行われるはずですが、場合によっちゃ「大丈夫。まだ次のW杯には時間があるし、心配しなくていい。前回もそうだったんだし」と思ってしまうことです。協会もファンもね。
ま、この問題については、これまでにしましょう。いくら議論をしても溝は埋まりそうにないし。結果は4年後にでるでしょう。
最後に、ラッキーとかたまたまとかはなぜなのか、ということについて。今回の本大会の戦い方を半年以上前からしていたなら、そうはいいませんよ。しかし、守備的な布陣、本田の1トップなんて、直前からでしょう。そういうのをたまたまというんです。いままでやってきたことの結果がでなくて、直前にやり方を変えたら当たった。これがたまたまやラッキーでなくてなんなんですか。ラッキーじゃないというなら、その根拠を示してほしいですね。

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