スポーツライター登龍門 present by 「朝日日刊インサイト」

  • 2010年4月12日

[全国ミニバスケットボール大会]それぞれの思い

大会1日目、Dコート第2試合。歴史を新たに刻みゆくチーム、そして歴史に幕を下ろすチーム。そんな対照的なチームが、それぞれの思いを込めて対戦した。

試合は、石川県舘野ミニバスケットボールクラブVS山形県山戸スポーツ少年団。両チームともに設立25周年で全国大会初出場。両者、悲願の一勝をかけた激しい戦いとなった。試合は終始山戸がリード。しかし、これに離されまいと追い上げる舘野。第4クオータまで緊迫した展開となったが、最後は28-24の僅差で山戸の勝利となった。力を出し切った山戸の子供たちの顔はさわやかだった。

勝利は悲願だった。最初で最後の全国大会となる山戸にとって、それは特別な思いだった。山形県鶴岡市にあるスポーツ少年団のミニバスチーム。現在の6年生が卒業すると、メンバーは公式戦出場条件である10人に満たなくなる。そんな少子化の影響を受け、今大会を最後にチームは解散となる。これまで数々の実績を残し、名プレーヤーも輩出してきた。現在チームのアシスタントコーチをしている伊藤拓郎も、少年時代このチームで育った。その後日大山形高校に進み、インターハイでも活躍した。今では子供達のよき兄貴、よき指導者だ。そんな彼の熱き指導も、これで最後となる。

石川県舘野ミニバスケットクラブの白山コーチ。普段は理容店を営んでいる。貫禄のある、そして頼りがいのある風貌から、職場ではボスと呼ばれ慕われている。そんなボスの大切にしている言葉は「感謝」。そしてチームのスローガンは「最強への挑戦」。最強という言葉に込められた意味は「勝つことが最強ではない。感謝の気持ちを忘れずに、人間として最強たれ」ということ。そんな言葉をいつも子供達にかけている。

そして初めての大舞台。緊張して力を出し切れず負けてしまい、うなだれている子、泣いている子。そんな子供達にボスがかけた言葉は、相手選手の最後の試合に込めた勝利への思い、そしてバスケットへの思い。舘野の子供たちは、この試合を通じて、バスケットができることへの感謝の思いを学んだ。

バスケットの聖地代々木体育館は、両チームにとって25年という歴史の節目の舞台となった。子供達は、そんな舞台での経験を糧として、また新しい歴史を作っていく。チームに興廃あり、されど子供たちのバスケットボールが終わることはない。

●橋本文成
昭和36年生まれ。サラリーマン。スポーツを通じて熱き人間ドラマを描くために金子塾に入塾。

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