[スポーツライター] 金子 達仁
【スポーツニッポン】意識の変化をもたらす4得点と3失点
【国際親善試合 ガーナ3―4日本】たかが親善試合。しかも、相手はW杯本大会出場を決めたばかりで、個々の運動能力はともかく、チームとしての迫力はずいぶんと損なわれていた。
それでも、この勝ちは大きい。特に、4ゴールを奪ったことは大きい。
前半、日本の選手たちは自分たちの頭の中に巣くってしまったアフリカのイメージとも戦っていた。運動能力が凄い。ヘタをしたらすぐに潰(つぶ)される…。
間違いではない。だが、ガーナ人に言わせれば、彼らの運動能力はナイジェリア人ほどではない。にもかかわらず、日本の選手たちはナイジェリアと戦うかのように怯えてしまっていた。前半にあった前田や中村憲のシュートは、いずれも「強いつぶし」を意識しすぎたがゆえに外れている。
自分たちよりも運動能力に優れた相手との対処法を見つけるには、ただただ経験を積むしかない。イニエスタが、シャビが大柄な敵をものともしないのは、彼らが若いころからそうした経験を積んできたからでもある。
それに類する経験を、この日の日本代表は積むことができた。確かにガーナの運動能力は高い。けれども、怯(おび)える必要はないということを、時間の経過とともに実感として抱くことができた。それが、後半の4ゴールにつながった。普段からアフリカ人選手とプレーすることに慣れた稲本の4ゴール目は、多くの日本人選手にとっても参考になることだろう。
とはいえ、この試合で新たな不安が芽生えてしまったのも事実である。
岡田監督にとって、守備の安定度はチームづくりの根幹をなす要素だったはず。0―3で敗れたオランダ戦のあとの試合でありながら、課題として「ゴールを奪うこと」をあげたのは、攻撃陣の方が本大会に向けてやるべきことが多い、言い換えれば守備はある程度計算できるとの思いがあったからに違いない。
それだけに、この日喫した2点目は痛い。GKからのロングボール1発で中沢が振り切られたシーンは、ガーナに勇気を与えただけでなく、これから日本と対戦する相手に大きなヒントを与えてしまった。ガチンコの勝負になれば、間違いなく相手は長いボールをスペースめがけて放り込んでくるようになるだろう。
これまで、岡田監督の頭の中では、「最終ライン中央部は中沢と闘莉王で」との思いがあったはず。だが、今回の遠征はそんな意識に何らかの変化をもたらす可能性が高い。Jのセンターバックたちにとっては、絶好のチャンス到来でもある。
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[スポーツライター] 金子 達仁- Tatsuhito Kaneko
- 1966年1月26日、神奈川県横浜市生まれ。法政大学社会学部を卒業後、日本スポーツ企画出版社に入社。『スマッシュ』『サッカーダイジェスト』編集部勤務を経て、95年にフリーとなる。著書に「28年目のハーフタイム」「決戦前夜」「敗因と」「泣き虫」などがある。
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